第五十七候「金盞香(きんせんかさく)」の花は何の花のこと?


七十二候の季節が進みました。

新暦11月17日〜21日は

立冬末候 第五十七候「金盞香(きんせんかさく)」

キンセンカは「水仙」のことで、水仙の花が咲き始める頃。

 

ニホンスイセンの別名が「金盞銀台(きんさんぎんだい)」で、白い花弁を白銀の盆、山吹色の副花弁を金の盃(盞)に見立てたところからきているようです。


ニホンスイセン

 

しかし、この時期に、水仙の花が咲いている風景はまだ見られず疑問に思っていました。
ニホンスイセンの開花平均値は最も早い地域で12月中旬前後で、大半の地域は年末から年明けごろです。静岡県下田市の瓜木崎は、須崎半島の
東南端に位置する岬で、日本でもノズイセンの自生地として知られるところです。12月中旬ごろから咲き始めるノズイセンの約300万本の群生は見事なものです。

 


「金盞」という名のついた花は他にあり、正しくは「金盞花」つまりホンキンセンカのことです。
キク科の一年草で、別名「冬知らず」と言われ、初冬の頃から日差しを求めるように小さな盃のような花を天に向けて広げ、厳しい冬を咲きついでいます。花色は鮮やかな濃黄色で、秋から咲く古来の一重咲きの宿根草は、まさにその名のとおり金盞=金の盃そのものです。また香りも高く、ヨーロッパではカレンデュラとして花を食用のハーブとして用い、香水にもなっています。


ホンキンセンカ

 

日本での最初の七十二候、『貞享暦』(1684〜1755)を作定したのは江戸時代前期の暦学者で囲碁棋士の渋川春海です。当時、中国から移入して使用されていた『宣明暦』は、約800年使用されたことから、色々な点で不都合が生じてきたため、貞亨暦(大和暦/やまとれき)が作成され、「本朝七十二候」が初めてお目見えしたのでした。そこには、12月下旬にあたる大雪末候を「水仙開(すいせんひらく)」としているのです。大雪末候ならばまさに水仙の咲く頃に一致しており、何も違和感はありません。

立冬の末候が「金盞香」と定められたのは『宝暦暦』(1755~1798)の改暦からですがその宝暦暦の作成に携わった西村遠里は、著書「天文俗談」の「七十二候のこと」の中で、「金盞香とは今云金銭花のこと」とはっきりと書いています。宝暦暦が編纂された当時は、金盞は水仙ではなく、文字通りホンキンセンカのことでした。

ところが、江戸中期ごろ、中国から別の「金盞花」が渡来します。今一般的に早春の花畑で見かけるオレンジ色で八重咲きのトウキンセンカ(唐金盞花)です。こちらは年中咲いている花として「時知らず」とも言われています。この栽培が盛んになり、金盞花というとこのトウキンセンカで、本来のホンキンセンカはすたれていくのでした。金盞花を水仙と言っているのは、春木煥光の「七十二候鳥獣虫魚草木略解」(1821年/文政4年)です。


トウキンセンカ

 

今の時代、七十二候は日々の暮らしに季節感や彩りを与え暮らしに趣を与えるものですから、水仙なのか、金盞花なのかと決めつけるものではありません。ですが、本来は、金盞花(冬知らず)のことであったということを知ることは大切なことだと思います。

ホンキンセンカは、現在では栽培する人もあまりありませんが、日本各地で自生しています。小春日和の散歩がてら、さがしてみてはいかがでしょう。

 

新暦2020年11月17日〜21日
立冬末候 第五十七候「金盞香(きんせんかさく)」

この期間目にしたり、召し上がると幸福感が高まる旬のものは、開運に欠かせないものです。
植物:蓮根(れんこん)、山芋(やまいも)、水仙(すいせん)、金盞花(きんせんか)  
魚 :甲烏賊(こういか)
鳥 :まひわ
旬の行事:出雲大社の神在祭
旧暦十月の別名は神無月。全国の神様が出雲に出かけて留守にするから。

 

「こよみすと」は、昔の暦を読み解き、日本に古くから伝わる暦を愛し、暦生活を送る人の総称ですが、広尾88アカデミーではプロフェッショナルとしての「こよみすと」を養成しています。そんな「認定こよみすと」は、暦を読み解き、その人にとって、一番合っている開運法のアドバイスを行います。毎日の暮らしの中、旅の計画を建てる時にも、この七十二候をとても大切にしています。動植物、行事など季節に最もパワーを持つ旬のものは、開運に欠かせないアイテムになります。

 


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